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【視聴報告】2022年のDXと情シスを占う(後編)

1220()に日経クロステック主催で開催された「2022年のDXと情シスを占う」で当協議会代表理事の長谷川秀樹氏が日経BP中村建助氏とディスカッションを行いました。

DXと情シスをテーマに行われた上記ディスカッションの中で特にポイントと思われるところを前編、後編に分けてご紹介いたします。

目次
  1. 情報システム部の活躍のヒントと今後
  2. 内製化について
  3. 最後に
  4. まとめ
本記事は、自社のDXを検討、取り組みを推進している情シスやDX人材の皆様にとって参考になる内容となっております。

情報システム部の活躍のヒントと今後

現在のプロセスで会社が回っているとそのプロセスで回すことに慣れきってしまい、変わらなければと言っても心のどこかでこのままでもよいのではと思ってしまう。
それでは“デジタルの世界の住人”には引き離されてしまいますよね。

今回たまたまデジタルと頭についていますが、トランスフォーメーションはいずれにしても難しいですよね。
人間のDNAとしてどうしても安定志向のため、トップが大きく変わるなどの地殻変動が起こらないとメンタル的には難しいと思ってしまう人が多いと思います。

インターネットが出てきた頃に会社がWebサイトを作るらしいとなったとき、ECサイトが出てきてオンラインでどうやらものが売れるらしいとなったとき、インターネットと距離を置いてきた情シスが多いのではないかと思います。

今回のDXの波も、SIerが作ったテクノロジーよりもインターネットテクノロジーが優れていることが自明の理だと思います。極論を言うと、みんなにチャンスがあります。

従来のように偉い人だけが大手ベンダーの高額なセミナーに参加ができる、営業に説明してもらわないとどんなものかを知ることができない時代ではなく、今はクレジットカード情報を入力すれば一定の期間をトライアルで利用ができるSaaSがたくさんあります。

やる気があれば、今まで自分が担当していた以外の領域も誰もが勉強できます。
SmartHRMoneyForwardFreeeなどでバックオフィス業務、販売管理システムなどで営業の業務知識をつけることができます。
知識をつけないと業務の人とSIerの間で伝言役になってしまいますが、自分で勉強しておくと大げさに言うとシステムをローンチしたのと似た経験ができているため自分が取り組む本当のプロジェクトで様々なことができます。

やる気のある人が勝つ時代。たまたま大手企業でお金を持っている人がハイテクノロジーの勉強会に出られるのではなく、インターネットにつながりPCがあればやる気のある情シスの人が活躍する時代だと思います。

今の時代で情シスが活躍するためのヒント

SaaSがたくさん出現してきたことにより、誰もが簡単にシステムを触って勉強できる時代。自らどんどんシステムに触れて知識をつけよう。


日本の情シスは慎重すぎる、完璧すぎると思います。
新しい技術より枯れた技術で安全なことをやろうという思考で、その方がいいこともありますがインターネットは小さな波ではなく世界を変える大きな波だった。
その波に乗らなかったことが大きな反省点かと思います。

日本の高品質主義の中で、少しでも止まれば「何をやっているんだ」と責められてしまう経験を何度もしていれば人間だれしもそうなってしまうよなと思います。

大きなショックを受け、「こういう世界になったらいいのに」と思ったのは、ツイッターが出てきてシステムがダウンし、クジラが出てきたときです。
企業でやったら余計に叱られそうですし洒落をやっている場合ではないかもしれませんが、「いいな」と思いました。
また、名前を登録すると、「いい名前ですね!」と出てきた覚えがあります。「いい名前ですね!」というのは登録完了という意味も込みですよね。

エンタープライズのシステムも使うのは同じ人間なので、そういうセンスになるといいなと思います。と言いながらも今まで情シスは褒められることはなく、怒られ続けてきました。
安心安全以外はやめとこうと思うのが普通だと思います。そうなってしまったのは誰かが悪いのではありませんが、やる気のある人と変わっていくチャレンジをしたいと思います。

クラウドサービスやSaaSを利用するということは一部の先進的な企業がすることではなく、完全に普通の会社が普通に取り組むフェーズに入っていますよね。

従来は紙でやっていたことをコンピューターに登録して検索できるようにしようよ、という取り組みだったのでそんなに人間にとって嬉しいものではなかったと思いますが、今はGPS「こんなに便利なものがあるんだ」と感じられるようなドラえもんの秘密道具のようなところがあると思います。

テクノロジーの進化により、登録して検索して印刷する90年代のシステムとは違って、カメラで撮影するとすべての情報が登録されるようなシステムが実現し「こんなに楽なの?」とほめられる情シスになっていくのではないかと思います。 

内製化について

ジェフ・ベゾスが「開発者は錬金術師だ」と言っていました。インターネット技術とソフトウェアの組み合わせには強烈な可能性があります。だからこそSaaSが進化していて、情シスがシステムのプロなのであれば乗るべきだし乗らなければおかしいという状況かと思います。

錬金術師、魔法使い等様々な表現があると思いますが、驚くようなことを実現できる人たちなので頑張ってほしいと思っています。

情シスはSIerが作ったシステムのお守りや次期システム企画が多いと思いますが、内製化になると役割が異なります。
情シスと呼ぶのかデジタル人材と呼ぶのかわかりませんが、従業員が100名いたとして、100名のうちの何%くらいがデジタル人材を置くのが良いのでしょうか?
1%くらいとなっている企業が多いようですが、1%が適切なのでしょうか? 2%にしたら2倍の魔法が使えるのではないでしょうか?

残り95%の従業員の業務を大きく変革できるのであれば業務プロセスの定義を管理することを含め、感触としては5%くらいいてもよいのではと思っています。

優秀な人を集める難しさも出てきていると思います。

内製化というと東急ハンズの際自分も正社員化にこだわっていましたが、人材の数の問題も含めて業務委託の人もいれば正社員の人もいればのミックスチームを組んでいかないと採用は難しい状況です。

特に地方の会社では引っ越ししてもらって正社員になってもらうことは難しいので、リモート前提かつフルタイムではなくハーフで依頼するなどつぎはぎしていかないと内製化の実現は難しいと思います。

一方でノーコード、ローコードはもう数年先にもっと大きな波が来ると思っています。
KintoneGoogleのアップシートもいいところまで来ていますが、もう少し先の未来では伝票処理系のシステムはエンジニア以外の人でもノーコード、ローコードで実現することができ、エンジニアのリソースをもっと違うところに使える時代が来ると思っています。 

優秀な人材を集めるには

複数の契約形態やフルタイムだけでない働き方を用意するなど、正社員のみにこだわると内製化の実現は難しい。

最後に

最後にメッセージをお願いします。

ITの民主化はずっと進んでいて、特別な人、大企業の情シスだけが高度なわけではありません。
自分で勉強したら実行できる時代です。やる気のある人にとってはいい時代になってきていると思います。

もう1点、昨年度はDX〇〇室を作った会社が多いと思います。2022年は計画してきたことを実行に移す年になると思います。

2022年はDXの成否が決まる、成果が現れる、頑張り時の年だと思います。踏ん張り時を一緒に頑張っていきたいと思います。

まとめ

最後に本セミナーを視聴した筆者がポイントと感じた箇所をまとめてご紹介いたします。DXを推進する際にお役に立てれば幸いです。

DX実行のポイント

従来の業務のままデジタル化を図るのではなく、デジタルを利用して気持ちよく業務ができるように業務自体を再構築する。

DX推進人材におけるポイント

DX後の世界を体験して理解している人社内展開が得意な人の2つの役割を持つ人材が必要。

今の時代で情シスが活躍するためのヒント

SaaSがたくさん出現してきたことにより、誰もが簡単にシステムを触って勉強できる時代。自らどんどんシステムに触れて知識をつけよう。

優秀な人材を集めるには

複数の契約形態やフルタイムだけでない働き方を用意するなど、正社員のみにこだわると内製化の実現は難しい。

投稿者プロフィール

田中
田中
新卒でSIerに入社し、法人営業、商品企画を担当。後に株式会社グローバル・パートナーズ・テクノロジーにコンサルタントとして入社。2021年より一般社団法人CIOシェアリング協議会の運営に関わる。

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