CIO シェアコラム

WithコロナでのCIOの役割とは?~Withコロナ時代でCIOに求められること~

新型コロナウイルス(COVID-19)の感染拡大、1回目の緊急事態宣言が発令されてから早1年以上が経ちますが、未だ収束の目途は見えていません。

Withコロナ時代に突入した社会で、企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)やデジタル活用への注目が高まっている中、ITで自社のビジネスを変革し、DXの牽引を担うCIO(最高情報責任者)の役割はどう変わっていくのでしょうか?

本記事では、「Withコロナ時代におけるCIOの役割」や「Withコロナ時代で活躍するCIOの要件」について、昨年9月に本協議会が開催した第3回セミナー「Withコロナ時代におけるCIOの取り組み事例紹介~チューリッヒ保険会社でのコールセンター在宅化他~」の後半に行われたパネルディスカッションの中で、本協議会の代表理事長谷川秀樹氏を含む4名の登壇者の方が語られた考えについてご紹介します。

<パネルディスカッション登壇者>

◆パネリスト

・長谷川 秀樹 氏(本協議会代表理事/Rockesta Inc. 代表取締役社長/生活協同組合コープさっぽろ非常勤CIO)

・木場 武政 氏(本協議会理事/チューリッヒ保険会社ITサービス本部長CIO)

・長谷川 勇一 氏(本協議会メンバー/シーメンスヘルスケア株式会社 IT本部 本部長)

◆モデレーター

・坂本 俊輔 氏(本協議会副代表理事 /(株)GPTech代表取締役社長)

※本セミナーのアーカイブ動画を本協議会のFacebookページから視聴できます。是非ご視聴いただければと思います。
アーカイブ動画URL:https://fb.watch/v/18jkyK6l_/

※本セミナーの前半に行われた木場氏による基調講演「チューリッヒ保険会社でのコールセンター在宅化取り組み事例について」は以下の記事にて紹介されております。是非ご一読いただければと思います。

参照:CIOは「守るために攻める」役割へ チューリッヒ保険会社 木場氏が4要因から新時代の指針を示す

本記事が、現在CIOとして企業のコロナ対応に従事されている方、今後CIOを目指されている方にとって、Withコロナ時代におけるCIOのあり方を考えるヒントになれば幸いです。

コロナ対応で発生した取組み課題や苦労

「ピンチはチャンスに。コロナの影響で経営層のデジタル化への意識が高まり、IT施策が通りやすくなった。」

緊急事態宣言の発令により、リモートワークへの切り替えが求められたことを背景に、多くの企業の経営層がデジタル化の必要性を感じたことで、従来IT施策へ難色を示していた経営層が耳を傾けやすくなり、結果としてCIOの考えが通りやすくなったと登壇者の方々は語っています。

実際に、パネルディスカッションの中で長谷川(秀)氏は以下のように述べています。

<長谷川(秀)氏>

10年近く前から「ゼロトラスト化せよ」という方針を持っていた。

リモートワークを実行する上で、企業に会社のネットワーク以外には繋いではいけないなどのルールがある場合、数千円するドングルを全社員分用意するなどコスト高な対応が必要になってしまい、結果としてコストが低く対応できるゼロトラストにしていこうという方針が通りやすくなった。

また、ホワイトカラーの方であればシステムに直接触れることは少なく、ドキュメントの作成や会議に充てる時間が多いため、その部分の効率・生産性を高めるためのインフラ面の向上の必要性が高まったことで、自身の考えるIT施策が実行しやすくなった。

「リモートワークの実現においてハードルになるのはインフラ面よりも業務ユーザのマインドセットの部分が大きい。」

その中でも、コロナ対応で発生した取り組みに苦労はあったと登壇者の方々は語っており、実際に苦労した点を木場氏と長谷川(勇)氏は以下のように述べています。

<木場氏>

チューリッヒ保険では、在宅コールセンターの話を業務ユーザにした際は「無理だ。」と拒否感が強かった。

しかし、在宅コールセンターの実現において課題となる点一つ一つに対して、何度も協議を重ね解決策を示していくことで実現し、今となっては業務ユーザも「意外とできるね。」と問題なくリモートワークを行っている。

<長谷川(勇)氏>

シーメンスヘルスケアでは、元々「いつでも、どこでも、どんなデバイスでも」を合言葉にどこでも働ける環境を作ってきていたため、インフラ面で苦労した点は少なかったが、業務ユーザに「在宅では仕事にならない」というマインドセットがあった。

そのため、リモートワークの実現においてハードルになるのはインフラ面よりもユーザのマインドセットの部分が大きいと考えた。

ユーザのマインドセットをいかに変えることができるのかに重点を置き、何度もユーザに対してシステムの使い方や業務の変更点などに関するトレーニングを重ねることで「在宅でも仕事ができる」という意識付けを行ったことでリモートワークを実現することができた。

リモートワークに対して、最初はユーザが抵抗を示すことは多いと考えられますが、真摯にユーザに向き合い、ユーザが課題と感じる点に対して解決策を示したうえで実行してみることで、実際にやってみると便利だと気付くユーザは多く、「在宅でも仕事ができる」というマインドセットが浸透していくということが2者の意見からもうかがえます。

ここまで、コロナ下でのCIOの苦労や企業の変化について話してきましたが、今後withコロナ時代にCIOの役割はどう変わっていくのでしょうか?

WithコロナでのCIOの重要性・役割の変化

「企業のDXの中心になる。あるいは中心にいなくともイネーブラー(DXを実現するためのハブ)のように活躍することが重要である。」

Withコロナの時代では、SaaSの活用を推進でき、ITをイネーブラーにして企業変革をもたらせることができるような役割をCIOが担っていくことが一つ期待されていると考えることができると登壇者の方々は語っています。

実際に、パネルディスカッションの中で長谷川(秀)氏、長谷川(勇)氏は以下のように述べています。

<長谷川(秀)氏>

CIOの役割は本質的には変わってはいないが、トレンド的にバックオフィス関連で良いSaaSをどんどん導入するという流れができてきている。

例えば、電子署名のSaaS導入が必要となった際に、「ドキュサインをインストールしよう」という決断をすぐにできるか、「そもそも電子署名のシステムって何があるんだっけ?」となり、ベンダーからの提案を聞いているだけでは大きな違いがある。

そのため、トレンド的観点で言えば、良いSaaSを日々勉強していて、どんどん導入していけるスキルセットがCIOには必要だと考えている。

<長谷川(勇)氏>

コロナの影響だけではないが、間違いなく多くの企業のDXが加速したと思う。

その際に、CIOがいかにして企業のDXの中心にいるのか。あるいは中心にいなくともイネーブラーのように活躍する、ビジネスの現場とITを繋ぐハブでありたいと考えている。

その中で、企業内のデジタル人材をいかにして増やしていくのかということもCIOの重要な役割であると考えている。

例えば、人事部門とパートナーシップを組んで、全社的な研修プログラムを開発するなどの対応が考えられる。

また、社内でアジャイル的に新しいテクノロジーを試してみて、それが良い結果を生んだ時点で、お客様に対してそのテクノロジーやナレッジを使ってバリューを提供することができるチャンスがCIOやIT部門のトップにはあると考えている。

とは言っても、全てのCIOが上記のような立ち振る舞いができるわけではないと考えられます。

それでは、今後活躍するCIOはどういうCIOであるべきなのか、どういうキャリアを歩んでいけばいいのでしょうか?

今後活躍するCIOの要件・CIOのキャリアについて

「業務とITの知識に加えて、語学力、AI等の最新技術の知識、ノンコード開発の経験が加わると無敵のCIOになれる。」

CIOに必要な要素として業務とIT両方の知識があることが良く挙げられていますが、その他にwithコロナ時代で活躍するCIOの要件として、登壇者の方々は以下の点を挙げています。

<withコロナ時代で活躍するCIOの要件>

  • リスクテイカーとしてのスキル
  • 語学力
  • AI等の最新技術の知識
  • ノンコード開発の経験
  • システムの全社最適化の経験、スキル
  • 人材育成能力

実際に、パネルディスカッションの中で登壇者の方々は以下のように述べています。

<木場氏>

今後のCIOの重要な要素として「リスクテイカーとしてのスキル」が挙げられる。

現在、コロナという今まで経験したことのないような未曽有の事態に直面している。

その社会の中で、今後何が起こるかわからない状況でもどのようなリスクがあり、そのリスクに対して取れるリスクと取れないリスクを瞬時に判断し、投資できる部分はどんどん投資をしていくことでビジネスを伸ばしていく、安定化させていくことがCIOの役割である。

そのため、リスクを客観的に判断して「取るリスク・避けるリスク」を明確に意識して投資するべきところに投資することがCIOに求められるスキルだと考える。

<長谷川(秀)氏>

今までは、業務とIT両方の知識があるということがCIOの要素として定番であるが、そこにプラスして、英語がわかる人が要素として上げられると考える。

エンジニアを自社で賄うことが前提ではあるが、日本人のエンジニアだけでは能力やコストなどいろいろな面から人材確保が難しいため、外国人のエンジニアに英語で作業指示ができ、一緒に働くことができる語学力が必要である。

また、AIのロジックはどうなっていて、どれくらいの精度で動いて、自社の業務にどう活用したらどのような効果が得られるのか、そのあたりの勘所を持っている必要があると考える。

そうでないと、ベンダーに言われるがままのCIOになってしまう恐れがある。

AIなどの最新技術を自社の業務のどこに当てはめるのが良いのか、どのような効果が得られるのかというような、最新技術の知識があることがCIOに求められてくると思う。

加えて、Zapierなどの簡単なノンコード開発を自分で叩けるとより強いと考える。

業務とITの知識に加えて、語学力、AI等の最新技術の知識、ノンコード開発の経験が加わると無敵のCIOになれるのではと考えている。

<坂本氏>

業務システム導入とSaaS導入だけであれば、「業務+IT知識」で対応できる思うが、新しいテクノロジーを活用して企業変革をもたらせていくことを考えると、コアな技術までわかっていないと本当に適用できるのかという部分が判断しがたいという壁が出てきている時代だと感じ始めてきている。

<長谷川(勇)氏>

規模が大きな会社になればなるほどシステムが部門最適になってしまいがちと考える。

そのため、会社のバリューチェーンに横串を指すなど、システムを全社最適化していくスキルや経験が、CIOにあったほうが良いと考える。

加えて、自社のIT人材を育てていく人材育成能力もこれからのCIOに求められることであると考える。

また、CIOのキャリアについては坂本氏が以下のように述べています。

<坂本氏>

CIOのキャリアについて、ITの知識、技術にも熟知しているという観点で考えると、もちろんユーザ企業での経験だけで身に着けている人材もいるが、ユーザ企業とベンダー企業双方を経験している人材がCIOとして活躍しやすいと感じている。

従来は転職ありきでの双方の経験であったが、今後の社会では兼業として両方を経験するという働き方があるのではないかという思いで、本協議会は発足している。

まとめ

今回のセミナーの中で、登壇者の方々の多くがコロナの影響で企業のDXが加速していると感じていると語っています。
IT活用の重要性が高まっている社会の中で、CIOに求められるスキル・経験がより幅広く、大きくなってきており、CIOの重要性も高まってきているということが今回見えてきたと思います。

※CIOを目指す上でのキャリアプランについても以下の記事でご紹介していますので是非ご覧ください。
参照:IT部員におけるキャリア形成のヒント~日経XTECHテクノ大喜利ITの陣『急増中のプロのCIOは日本企業を救うか』から考える~

また、今回のセミナーへご登壇いただいたメンバーは本協議会に在籍しており、本協議会を通してアドバイザリーとして相談することが可能です。自社のDXを進める上で、何かお困りごとがあるユーザ企業の方は、是非一度、本協議会の相談対応サービスの活用をご一考いただけますと幸いです。

※ユーザ企業向け相談対応サービスについては、以下の資料をご覧ください。

【CIOシェアリング協議会】相談サービス案内

本記事が、現在CIOとして企業のコロナ対応に従事されている方、今後CIOを目指されている方にとって、Withコロナ時代におけるCIOのあり方を考える上で少しでもお力になれば幸いです。



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