CIOとは、Chief Information Officerの略で、最高情報責任者と訳される企業の情報戦略における最高責任者です。
総務省の調査によると国内のCIO設置率は11.2%と、まだまだ設置が進んでいないCIOについて、その役割や業務内容のイメージがつかない方も多いのではないかと思います。(参照:CIO・CDOの設置状況)
本記事では、CIOの役割や必要な知識・経験、キャリアパスなど、CIOに関する情報をまとめました。(本記事の内容は、当協議会の見解を基に作成しています。)
CIOの登用を検討されているユーザ企業の人事担当者様や、CIOを目指したいと思っている方に役立つ内容となっています。
CIOとは
CIO(最高情報責任者、Chief Information Officer)は、一般的に情報システムの最適化の役割に加えて、組織や部門を越えて企業グループ全体を俯瞰した、経営の変革を主導的に推進することを求められる役割と言われています。
CIOの役割
IT関連業務
CIOに求められる役割や担当する業務は、企業規模によるところもありますが、自社の経営戦略に合わせたIT戦略の構想と推進が非常に重要なミッションとなります。また、比較的小規模な企業においては、ITガバナンスや導入・運用しているシステムのマネジメントについてもCIO自ら対応する必要が出てくるケースも見受けられます。
人材の確保・育成
自社に必要なIT人材の採用や育成もCIOの業務の1つです。より強い組織にしていくために必要な人材を検討して採用を行い、自社に定着してもらうための活動を行います。また、既存の社員も含めたモチベーションの管理、キャリアパスの整備、育成計画、後進指導などが挙げられます。
CIOとCTOの違い
CIOとは、Chief Information Officerの略称であり、日本語では「最高情報責任者」であることに対して、CTOとは、「Chief Technology Officer」または「Chief Technical Officer」の略称で、日本語では「最高技術責任者」となり、多くの場合技術部門の総責任者、担当役員などがCTOを担います。
自社の経営戦略に合わせたIT戦略の構想と推進を行っているCIOに対して、CTOの役割は自社の経営戦略に合わせた技術戦略の構想と推進を行います。
具体的にCTOは、技術者代表として技術戦略との立案としてテクノロジーの採用、導入に関わる検討、実行推進、研究開発部門の統括等を行います。
業務改革や業務効率化において、改革するための手段としてIT技術を採用するケースが多く、企業規模や業種によってはいずれか一方が片方の役割も担っているケースがあります。
CIOに必要な知識・スキル・経験
既に様々な場で語られていますが、CIOとして活躍する、またはCIOに就任するために、経営、IT、業務に関する知識が必要です。
さらに、当協議会ではWithコロナの時代に至った現在、改めて「今後活躍するCIOの要件」について、本協議会の代表理事長谷川秀樹氏を含む4名でディスカッションを行いました。
ぜひ関連記事も合わせてご一読ください。
① 経営の知識を身に付ける ② 企業の情報戦略を押し進める知見、スキルを身に付ける ③ 現場の業務やニーズを理解し、幅広い業務に対する知見を身に付ける
<CIOに必要な知識・スキル>
<withコロナ時代で活躍するCIOの要件>
CIOのキャリアパス
ここまでCIOの役割やCIOになるために必要な要素を述べてきましたが、CIOになるためには具体的にどのようなキャリアを歩むのが良いのでしょうか。
本協議会で現在CIOとして活躍されている方およびCIOとして活躍されていた方の経歴について独自調査を行ったところ、複数企業を経験された方がCIOに就任するケースが1社に勤め続け生え抜きでCIOに就任するケースを大きく上回る結果となりました。
具体的には、「1社で社内SE、IT部門のみを経験」または「1社で複数の部門を経験」してCIOに就任された方は32名、「複数企業を経験」してCIOに就任された方は78名という結果となりました。
このことから、まだまだ日本の企業においては、社員がCIOになるためのキャリアパスを用意している企業が少ないと推測ができます。
また、この調査結果から、1社でIT部門や情報システム部門などのITに関わる部署のみを経験された方よりも、複数部署、複数企業で業務を経験された方がCIOに就任するケースが多いことが窺えます。このことから、CIOになるために、IT部門に限らず様々な部署、企業での経験が有効と考えられます。
そのため、CIO就任を目指す場合、企業が作成したキャリアパスや育成計画に頼らず、必要なスキルや経験を身に着けるため、自身でキャリアプランを描いていく必要があると言えます。
CIOの年収
東洋経済の調査では、国内のCIOの最高年収は5000万円となっています。(参考:スペシャリスト人材「職種別」年収ランキング )
また、ヘイズ・スペシャリスト・リクルートメント・ジャパン株式会社の実績では、日本のCIOの平均年収は2800万円となっており、他のアジア各国(中国、香港、マレーシア、シンガポール)と比較すると高年収とは言えない位置づけとなっています。(参考:ヘイズ・スペシャリスト・リクルートメント・ジャパン株式会社)
当協議会では、おそらく東洋経済の調査結果やヘイズ・スペシャリスト・リクルートメント・ジャパン株式会社の実績は主な調査対象を上場企業とした結果であると推測しています。上場企業を含む多くの企業では、CIO専任ではなく他の役割と兼任でCIOを担っているケースもあるため、純粋なCIOとして役割・業務に対する年収ではない場合も含まれていると考えられます。
CIOの今後
新型コロナウイルスの流行により日本のIT活用の遅れが頻繁に話題になる昨今、CIOに対する注目度はこれまでと比較して一層高まっています。
本記事でもCIOの役割として「自社の経営戦略に沿ってIT技術をどう活用し経営に貢献するか」を考えることが非常に重要なミッションとお伝えしましたが、ITの進歩はすさまじく、自社の経営戦略に沿ってIT戦略を立案するのでは遅く、最新の技術トレンドから自社の経営戦略に貢献するIT戦略を立案する必要があるとの考えも出てきています。
参考:「日本企業のDX戦略はコピペ」、コンサルに丸投げするCIOとIT部門の惨状を暴く
現在も続いているIT技術のすさまじい進歩から、今後CIOに求められる役割も日に日に大きくなっていくのではと推測されます。
CIOは非常に難しくハードな職種ですが、やりがいも非常に大きく魅力的な職種です。CIO人材として働くことに興味・関心のある方は、ぜひ当協議会個人会員へのお申し込みをご検討ください。
CIOの履歴書
当協議会では、「CIOの履歴書」と題し、CIOとして活躍されている方々の「CIOに至るまでのキャリア」や「CIOの後のキャリア」等についてのインタビュー記事を公開しています。本記事と合わせて、是非ご一読ください。
関連記事:
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投稿者プロフィール
- 新卒でSIerに入社し、法人営業、商品企画を担当。後に株式会社グローバル・パートナーズ・テクノロジーにコンサルタントとして入社。2021年より一般社団法人CIOシェアリング協議会の運営に関わる。
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